「今さら聞けない」「誰に聞いたらいいかわからない」。そんな葬儀にまつわる身近な疑問について、おとなKomachi編集部が解説します。こちらの記事では、近年、主流になりつつある「家族葬」。「密葬」や「自宅葬」との違いについてご紹介します。
家族葬が支持される理由とは?
家族葬の割合は年々増加しています。家族葬が世に広まり始めた当初は、首都圏などで多く見られる葬儀でした。しかし、徐々に地方都市、そして全国各地に浸透していき、今では新潟県内でも家族葬を選択するご家庭は非常に増えました。
その背景には、高齢化、ライフスタイルやコミュニティーの変化などが挙げられます。特に高齢化は家族葬が広まる大きなきっかけに。亡くなる年齢や喪主の年齢も高齢化し、故人と関係のあった親しい人々が参列できないといったケースが増え、親族同士や近所との付き合いも昔よりは希薄になってしまった現代。さらに、退職からも年月が経っているため、今さら職場の方にも声を掛けられない…。そういった現状が、家族葬の浸透を加速させました。
家族葬は一般的な葬儀より、参列者も少なく、会場の規模も小さいコンパクトな葬儀です。葬儀の参列者が減ることによって、喪主や遺族の身体的・精神的な負担は軽減されますが、実は金銭的な負担が大きくなるのです。なぜか? 参列者の人数が少ない=香典の額が少なくなってしまうからです。
高齢化やコミュニティーの変化による参列者の減少、そして経済的な理由などから、小規模で実施できる家族葬への支持が高まっていったのです。
そして、2020年からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行。これによって、さまざまな場での人数制限が生じました。葬儀も例外ではありません。そのような世情も影響し、一層、家族葬を選ぶ方々が増えていきました。
家族葬、密葬・自宅葬・一日葬との違いとは?
家族葬と近い葬儀のスタイルに「密葬」や「自宅葬」というものがあります。
密葬は、近親者のみで葬儀を行った後に、改めて大勢の方を招いての本葬を行うのが一般的です(本葬を行わないケースもあります)。企業の代表や芸能人など、社会的地位の高い方の遺族が選ぶケースが多い葬儀スタイルです。
また、自宅葬は、その名の通り故人の自宅で行う葬儀のことです。長年暮らした自宅で行えるため、気を遣うことなく、さらに時間の制限もなく、自由度の高い葬儀を行うことができます。しかし自宅葬の場合は、棺を入れたり、祭壇を設置するスペースなど、葬儀を行うための十分なスペースの確保が必要です。また、参列者用の駐車場の用意などが現代の住宅では難しいといった理由もあるため、ごく少数派の葬儀スタイルになっています。
そして、一日葬は、お通夜を行わない、告別式と火葬のみの葬儀のことを指します。お通夜を行わないことで、費用を抑えることができ、参列者の負担も軽減できます。家族葬との違いは、参列者の制限はなく、一般の方も参列することができる点です。また、家族葬の場合は一日で終わらせるとは決まっておらず、2~3日にかけて通夜・葬儀を行うため、この点も家族葬と一日葬の違いとなります。
多様化する葬儀スタイル
いかがでしたか? 近年、ライフスタイルの多様化とともに、葬儀のスタイルも多種多様に広がっています。これまでの慣習にとらわれることなく、故人や遺族が「こうしたい」といった気持ちに添った葬儀を行える時代になりつつあります。
ご自分はどんな葬儀を行いたいか、行ってほしいか。考えるきっかけにしてみてください。漠然としていて、思い浮かばないという人は「誰に来てほしいか」を考えてみるといいですよ。葬儀に来てほしい人との関係性、人数が明確になると、自ずと葬儀の規模が見えてきます。参考にしてみてください。