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2024/1/09

日々の食卓にちょっといい器|樹林窯

おとなKomachi編集部


自分の毎日は、自分で豊かに。おとなの小さな贅沢。

食事は毎日のことだから、ちょっといい器で、いい時間に。いつもの料理も、スーパーのお惣菜だって、お気に入りの器に盛り付けるだけで、景色が変わるから不思議です。今回は、上越市で作陶を行う「樹林窯」さんの器をご紹介します。

チヂミを盛り付けた黒土角皿、チヂミの下にはすずらんの型押しが施されている。紅白なますを盛り付けた菊模様丸皿 4寸皿のような絵柄や、きぬかつぎをのせた瑠璃六角皿のようなテーブルのアクセントになる器も作ることがあるそう。

 

季節の植物を型押しした 四季を感じる飾らない器

「樹」に「林」と書いて「樹林窯(きりんがま)」。作陶家の大嶋陽子さんは、家業である林業や建設業を営みながら器作りを行っている。自然に触れる機会が多く、ガーデニングも趣味と語る大嶋さんの作品は、植物をそのまま土に型押しする、なんとも個性豊かなもの。

こちらが作陶家の大嶋陽子さん。ご自身で全国各地の作家さんの器を集めるのも趣味だそう。

 

「季節感を大事にしたいから、四季に応じて使う植物を変えています。庭で育てたハーブやコスモス、クルミの殻など、身近にあるものがほとんどです。使う植物の個性を生かすため、色はあまり付けず、形もシンプルなものを作るようにしています」。

土に植物を絶妙なバランスで並べ、器の柄を型押ししていく。

 

信楽から取り寄せた黒土に白い釉薬を掛けた器は、よく見ると、葉の葉脈や花びらの花脈までしっかりわかる。中央に寄せるか、全体に散らすか、植物の形に合わせて型押しの仕方を変えることで、器の印象が変わるからおもしろい。

さきほど型押ししていた「ラムズイヤー」の葉は、焼き上がるとこんな柄に。

 

高校生の頃から器集めが好きだったという大嶋さん。趣味が高じて、妙高市にある「越後焼 妙高赤倉窯」に1年ほど通い、あとは器に対する情熱と独学で20年近く作陶を続けている。

自宅の一角を改装し、ギャラリー兼ショップに。ご近所の方が集まる団らんの場にもなっているそう。

 

実家の一部を改装し、展示・販売をするようになったのは7~8年前頃から。今は陶芸教室や体験なども行っていて、県内外から問い合わせがあるそう。

本当にまるでお庭が広がっているよう。料理を盛り付けるにはもちろん、アクセサリーやキャンドルなど、お気に入りのものを並べたくなる。

 

「主婦の方々からご意見をいただくことも多く、毎日料理を作っている方のお話はとても参考になります。私も料理が好きなので、盛り付けやすく、どんな料理も映える器を作り続けていきたいです」。

カップも素敵。シンプルだからこそ、どんな食卓にもシーンにも合う器の数々。ぜひ工房に足を運び、とっておきに出会ってほしい。

 

樹林窯の器の数々

※価格は取材時のものです。

 

左はクルミ、右はラムズイヤーというハーブを用いた型押し丸皿。直径15cm程度で小皿として使うのにちょうどいい。小さなタルトやマフィン、クッキーといった焼き菓子をはじめ、おまんじゅうなどの和菓子をのせてもかわいい。

 

取材に訪れたのがちょうど10月後半だったので、左はねこじゃらし、右はコスモスと、どちらも秋の植物を型押ししたもの。植物の型押し皿、サイズは長辺が23cmほど。「朝食のおかずを銘々盛りにしてもちょうどいいサイズ感です」。

 

クルミ型押し八角皿。ナチュラルな白地に茶色い点々が散る素朴な雰囲気の釉薬は、なんとうずらの殻を混ぜて作った自家製釉、その名も「うずらマット」。長辺13cm×短辺10cm程度なので、器としてはもちろん、小物入れにしても存在感を放つ。

 

ミントの葉を散りばめた植物の型押し皿。長辺28cmほどの大きめなオーバル皿と、長辺23cmのオーバル皿。リムが立ち上がっているので、汁気のあるものも盛り付けやすく、オーバル型なのでテーブルに置いても場所を取らなくて使いやすい。

 

※こちらの記事は2022年に「新潟Komachi/新潟 器 歳時記」で取材した内容を再編集したものです。

撮影:中田洋介(中田写真事務所)


作家Profile/大嶋陽子さん

上越市出身。趣味が高じ、20年ほど前から作陶の道に。現在は家業を営みつつ、展示・販売、工房での陶芸体験をはじめ、地元の小学校などでも陶芸教室を開催。陶器で作ったオーナメントも好評。

 

樹林窯

住所:上越市浦川原区中猪子田236
営業時間:8時~17時 ※変更の場合あり、詳細はHP参照
定休日:不定休
駐車場:あり
備考:購入や陶芸体験についてはInstagramアカウント(@kiringama)のダイレクトメッセージから問い合わせを。