葬儀の際にかかった費用のうち、亡くなった方が公的な健康保険(国民健康保険もしくは健康保険)に加入していた場合、葬祭費もしくは埋葬費の一部が支給されます。
国民健康保険に加入していた場合は「葬祭費」が、健康保険に加入していた場合は「埋葬料(埋葬費)」が支給されます。支給の対象となる費用は保険ごとに異なるので、事前にチェックしておきましょう。
国民健康保険・後期高齢者医療制度加入で支給される「葬祭費」
国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入していた方が亡くなった場合は、葬祭費の一部を請求できることを知っていますか? これらは市区町村の窓口で手続きを行います。
支給対象者は葬儀を行った喪主、もしくはそれに準ずる方です。支給額は故人の市区町村によって異なりますが、だいたい3万円~5万円程度です。葬祭費の請求手続きは葬儀を行った翌日から2年以内となります。
市区町村によっては、他にも給付制度を設けているところもあります。また、受け取れる条件も市区町村によって異なりますので、申請先の役所の窓口に確認してみましょう。
■葬祭費の申請に必要なもの(一部)
・葬儀にかかった費用の領収書など葬儀費用がわかるもの
・「会葬礼状」など葬儀の喪主であることを証明する書類
・申請者の本人確認証
・亡くなった方の国民健康保険証
・印鑑
・振込先口座
市区町村によって、書類や必要なものが異なりますので、事前に申請先の役所の国民年金に関する窓口で確認をするようにしてください。
健康保険加入で支給される「埋葬費」
亡くなった方が会社員などで健康保険(社会保険)に加入していた場合は、埋葬料を請求できます。支給対象者は故人に生計を維持されていた方で、上限5万円が支給されます。退職後に亡くなった場合でも、3カ月以内であれば請求することができます。
埋葬料を受ける方がいない場合は、実際に埋葬を行った方に埋葬料5万円の範囲内で、実際に埋葬に要した費用(例えば、霊柩車にかかった費用、霊前供物、火葬料、僧侶への謝礼など)が埋葬費として支給されます。また、被扶養者が亡くなったときは、被保険者に「家族埋葬料」として5万円が支給されます。
こちらは自治体宛ではなく、全国健康保険協会(協会けんぽ)といった健康保険を運営する各組合に手続きを行います。埋葬費の請求手続きは埋葬翌日から2年以内となっています。
■生計を維持されていた方とは?
被保険者によって生計のぜんぶ、または一部を維持されている方のこと。民法上の親族や遺族であることは問われません。また、被保険者が世帯主であるか、同一世帯であるかも問われません。
申請前には必ず「資格喪失」の手続きを
国民健康保険でも健康保険でも、保険加入者が亡くなった場合は、加入していた保険に対して「資格喪失」といった手続きを行わなければなりません。国民健康保険の資格喪失手続きは、14日以内と期限が決まっていますので、忘れずに行いましょう。この手続きを行った後、給付金の申請を行ってください。
給付金でまかなえるのは葬儀費用のほんの一部
葬儀にまつわる費用の一部を給付金でまかなうこともできますが、葬儀には多額の費用がかかります。経済的な負担を軽減したい場合は、葬儀費用自体を見直す必要があります。
近年、葬儀費用を抑えるために、「家族葬」といったコンパクトな葬儀を選ぶ方が増えています。一般葬に比べ、参列者が少なく、規模も小さいため、会場代はもちろん、飲食代や香典返しなどにかかる費用も抑えることができます。
葬儀を執り行うのは残された家族ですので、予算や経済状況と相談しながら、葬儀の内容を検討してみてください。