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2023/12/29

葬儀の知識|葬儀と告別式、実は意味が異なります

おとなKomachi編集部


「通夜」「葬儀」「告別式」。お葬式の際、よく耳にする言葉です。通夜と葬儀の違いは何となくわかっていても、葬儀と告別式の違いはわかりますか? そこで今回は、通夜・葬儀・告別式の違いを解説します。

 

葬式とは?

「葬式」とは、通夜・葬儀・告別式を含むすべての葬送儀礼の総称のことを指します。「葬式」を構成する主な儀式が、「通夜(通夜式)」「葬儀(葬儀式)」「告別式」であり、それぞれ内容が異なります。一般的には、葬儀・告別式が一日で行われ、通夜がその前夜に行われます。

 

 

通夜式とは?

葬儀・告別式の前夜に執り行われる通夜(通夜式)。本来は、遺族や親戚など近親者のみが遺体を囲み、故人と最後の夜を過ごす儀式のことを指します。遺族や親族など故人に近い人が夜を通してそばにいることから、通夜と呼ばれてきました。

 

古来から日本に伝わる、故人を葬る前に遺族や親族、友人などが夜通し遺体を守る「殯(もがり)」の儀式と合わさり、通夜が生まれたといわれています。通夜は、線香やろうそくなどの火を絶やさず、故人と共に夜を通して過ごす「夜伽(よとぎ)」とも呼ばれます。お釈迦様が入滅された(亡くなった)時に、弟子たちがお釈迦様の説法を7日間かけて互いに語り合った、という古事が起源となっています。

 

しかし現代では、時代とともに通夜のあり方は変化し、数時間で終わる半通夜が多くなっています。また、お仕事をされている方は日中の式より通夜のほうが参列しやすいこともあり、一般の弔問客にも開かれている場合がほとんどです。

 

流れとしては、僧侶を招いて読経をしてもらい、焼香をし、故人を偲びます。そして、通夜の後、集まった親族や親しい友人に食事をお出しする「通夜振る舞い」を行います。地域や場合によっては、通夜振る舞いを行わないケースもあります。

 

二日葬の場合、通夜は前日18時~19時に行われるのが一般的です。17時頃から受付を開始し、18時開式、19時頃に一般参列者が退出し、以降21時頃まで通夜振る舞いが行われることが多いです。

 

葬儀と告別式の違い

同じ日に行われることが多いため、混同されがちな「葬儀」と「告別式」ですが、実はまったく異なります。

 

葬儀とは、厳密には葬儀式といいます。葬儀は、遺族や親族といった近親者が故人の冥福を祈り、あの世へと送り出す儀式のことです。葬儀は宗教的な意味合いの強い儀式のため、宗派や宗教によって、形式が異なります。仏教の場合は、僧侶が主導して行うことが多いです。

 

一方、告別式は一般の参列者が、故人とお別れをする社会的要素の強い儀式です。友人や知人、仕事で交流のある方々が参列し、焼香や献花をします。こちらは喪主が主導します。

 

葬儀は家族や親族が故人とお別れをするための儀式、告別式は一般の参列者が故人とお別れをするための儀式、と捉えておくといいでしょう。しかし、近年は簡略化して、葬儀式と告別式を一連の儀式として行うのが一般的になっています。僧侶が読経し、遺族や親族が焼香を終えると葬儀式が終了となり、弔電を披露して、一般参列者の焼香が始まると告別式に移っていきます。

 

前日に通夜を行う二日葬の場合、一般的には9時もしくは10時頃から始まります。読経とともに、家族→近親者→一般参列者の順で焼香を行います。僧侶が退場した後、弔辞・弔電の拝読があり、故人と最後のお別れをした後、喪主の挨拶、そして出棺となります。

 

葬儀の後に振る舞う食事を「精進落とし」と呼びます。本来は、仏教の思想によって、親族が亡くなった後は肉や魚を断って精進料理を食べ、四十九日の忌明けに通常の料理に戻す区切り、それが「精進落とし」でした。しかし、現代では、火葬場から戻った際に、親族やお世話になった方へ食事やお酒を振る舞う宴席を精進落としと呼ぶのが一般的になっています。

 

通夜と葬儀・告別式の違い

通夜・葬儀・告別式、それぞれの違いがわかったところで、日を分けて行われる通夜と葬儀・告別式の違いは何なのか…?

 

通夜は、葬儀の前に故人との時間を親族や近親者だけでゆっくりと過ごし、故人とのお別れを惜しむための儀式です。故人のそばで、故人と親しい人々が夜を通して思い出を語り合う…。現代の通夜で夜通し語り合うのは難しいかもしれませんが、「通夜振る舞い」の席で故人との思い出話に花を咲かせ、思いを馳せる時間にするといいでしょう。

 

そして、葬儀・告別式は、故人とお別れをするための儀式です。最後の時をゆっくりと過ごし、心の込もった式で、あの世へと送り出してあげましょう。