icon

2023/11/22

住み慣れた自宅にいながら利用できる介護サービス

おとなKomachi編集部


これからの日本の介護を支える要に

自宅で生活を続けながら、介護サービスを受けることができる居宅介護は、この先の日本の介護を支える要となります。「訪問系」「通所系」「短期入所系」「小規模多機能型」の4つについて、専門家にお聞きしました。

※本記事は2023年9月時点の取材に基づく内容となります。

介護福祉士/介護支援専門員

三方憲子さん

ケアマネジャーの資格も持ち、現在はケアマネジャー受験対策講師として活躍。YouTubeチャンネル「【ケアマネ合格革命】三方 憲子」も開設し、学べる動画を配信中。

1.訪問系サービス

自宅にいながら専門家のケアを受けられる

「訪問介護」は、ホームヘルパーが住まいを訪問し、食事や入浴、排泄、衣類の着脱をはじめ、通院や外出などの介助を行う身体介護、調理や掃除、洗濯、買い物の代行といった生活援助の2つを行ってくれます。ほかに、医師の指示のもと看護師などが行う「訪問看護」、医師の指示のもとリハビリの専門家が訪問する「訪問リハビリ」、自宅に簡易浴槽を持ち込んで入浴の介助を行う「訪問入浴介護」などがあります。4種類すべて自己負担額が異なります。

訪問介護の内容一例

【身体介護】
●食事介助:食事の際の支援
●排泄介助:おむつ交換含む
●清拭:入浴ができない場合などに体を拭いて清潔にする
●体位変換:床ずれ予防のため
●移乗介助:車椅子や車の乗り降り
【生活支援】
●掃除:ゴミ出しも行ってくれる
●洗濯:洗う、干す、畳む、整理まで
●買い物:日用品の買い出し代行
●薬の受け取り:病院や薬局での受け取り

 

 

2.通所系サービス

日帰りで利用できる介護サービス

日帰りで利用できる介護サービスで、「デイサービス」と「デイケア」の2種類があります。デイサービスは、デイサービスを実施している介護サービス施設で日中過ごしながら、食事や入浴、機能訓練や健康チェックなど、さまざまなサービスを受けられます。要支援の人も「介護予防通所介護」でデイサービスを利用できます。デイケアは介護老人保健施設や病院、診療所などに通い、理学療法士や作業療法士の指導やリハビリを受けることができるサービスです。

デイサービスとデイケアの違い

【デイサービス】
●対象者:要介護認定者
●目的:他者との交流、心身機能の維持、家族の身体的・精神的負担の軽減
●主なサービス内容:介護や日常生活に関するサポート

【デイケア】
●対象者:要支援・要介護認定者
●目的:日常生活の自立支援、心身機能の維持・回復、健康管理、家族の身体的・精神的負担の軽減
●主なサービス:主治医の指導に基づいたリハビリが中心

 

3.短期入所系サービス

家族の身体的・精神的ストレス緩和にも

最短1日から長くて1週間程度、施設に入居しながら、施設入居者と同様の日常生活のサポートや機能訓練などを受けられるサービス。居宅介護を行う家族に急用ができたり、体調不良、精神的・身体的なストレスから一時開放されることが必要な場合に利用されています。特別養護老人ホームなどに併設されている「併設型」と、ショートステイ専門の「単独型」の2種類があります。併設型か単独型か、さらに部屋のタイプによって自己負担額は異なります。

部屋のタイプには4種類あります

●多床室
1部屋を2~6名で使用する大部屋タイプ。

●従来型個室
定員1名の完全個室タイプ。

●ユニット型個室
個室に加え、入居者・利用者が食事や談話を楽しめる共同スペースが用意されている。

●ユニット型個室的多床室
天井まで仕切られていないタイプの個室と、共同スペースが用意されているタイプ。

 

 

4.小規模多機能型サービス

一つの事業所に登録して全サービスを受けられる

従来の介護サービスは、「訪問」「通い」「泊まり」を各事業所と契約して利用していましたが、小規模多機能型サービスは一つの事業所に登録して各種サービスを利用できる革新的なサービスです。最大のメリットは、すべてのサービスを同じスタッフに管理してもらえる点。介護スタッフとの信頼関係は利用者や家族にとって安心につながる重要な課題。通所は半日だけといった短時間での利用もでき、緊急時には宿泊もできるなどの柔軟性が注目を集めています。

どんな特徴があるの?

●月額定額制なのに状況に応じた柔軟なサービスを受けられる
●住み慣れた地域でサービスを受けられる
●サービス選択の自由度が高い
●通所は「午前中だけ」「午後だけ」など短時間での利用も可能
●少人数制のため、一人一人の状況に合わせたキメ細やかなサービスを受けられる
●看護の機能も組み合わせた看護小規模多機能型サービスもある