親族や親戚が一堂に会すお盆。お盆は「亡くなった方が一年に一度、親族の元へ帰ってくるもの」といわれており、お盆の法要には遺族をはじめ、故人の親しかった友人などを招待して、僧侶を呼び、読経をしてもらう機会が多く見られます。
お墓参りもこの時期欠かせない行事ですよね。そもそも、お墓参りなど法事や法要は、仏教における儀式や行事のことを指すことを知っていますか。
法事(ほうじ)
法事は、特定の日に仏教の教えをまつる儀式や行事を指します。家族や親族が集まり、仏壇の前でお経(読経)やお供え物を捧げることで行われます。また、僧侶が招かれて経文を読誦し、供養の法要を行うこともあり、地域や宗派によって異なる慣習が存在します。また、故人の供養を行うために行われることがほとんどですが、生きている人の健康や幸福を祈る場合もあります。
法要(ほうよう)
法要も法事と同様に、仏教の教えをまつる儀式や行事を指します。法要は一般的に、故人の命日や忌日、または特定の行事や節目などの日に行われます。主な内容は、お経の読誦(どくじゅ)、供養のための法要、お参り、お布施などです。
葬儀・お葬式から始まり、初七日、四十九日、百か日、お盆、お彼岸、一周忌や三回忌など故人の祥月命日(亡くなった月日)に営む追善供養の法要(年忌法要)…これら法事と法要は何年も続いていきます。
日本人が大切にする初盆の風習
人が亡くなり、四十九日を過ぎてから初めて迎えるお盆を「初盆(新盆)」といいます。四十九日前にお盆のタイミングを迎える場合は、翌年のお盆が初盆(新盆)となります。
仏教の教えでは、人が亡くなってから、49日間は霊魂があの世とこの世を彷徨いながら、新たな生へと生まれ変わる準備をし、四十九日の法要で仏として極楽浄土に旅立つことができると考えられています。
初盆は、仏になった故人が初めて里帰りをするお盆とされています。故人の霊魂が現世に戻るとされる日に合わせて供養を行うことで、故人の魂の安らかな旅立ちを願うとともに、遺族が故人を偲び、心の整理をする機会となっているのです。
この初盆を大切にする地域は多く、毎年7月~8月のお盆の時期は先祖の霊を祀って親族が一緒に過ごす時期とされ、全国各地で盆供養が行われています。初盆に限らず、お盆の時期は、家族や親族が一堂に会し、絆を深める機会にもなっているのです。
新盆と普通のお盆との違いとは?
新盆もお盆も、故人を故郷や自宅にお迎えして供養するという点では同じです。ただ、新盆は故人が初めて自宅に帰って来る一度きりの機会という点で重視されます。よって、親族や知人・友人などが集まり、大勢で通常のお盆よりも丁寧に華やかにお迎えする行事とされています。
新盆の準備に必要なこと
地域や風習によって異なりますが、一般的に新盆は通常のお盆よりも盛大に執り行うことが多いため、遺族が準備することもたくさんあります。新盆の準備については以下のようなことが挙げられます。
・僧侶への連絡と日程の確定
・招待する親族や友人知人への連絡
・新盆飾りの準備
・お布施の用意
・会食を行う場合は会食場所の用意
・参列者への返礼品の準備
お盆の時期は旅行などの予定を立てる家庭も多いため、早めに日程を決め、連絡や案内状の作成をしておいたほうがいいでしょう。僧侶もお盆の時期はとても忙しいので、早めに予定を確認し、法要の日程や場所などを確定する必要があります。
また、法要後に会食をする場合は、僧侶の参加を確認し、料理の手配もします。
実は3通りある、お盆の時期
全国的に8月13日~16日、地域によっては7月13日~16日の4日間かけて行われるのが一般的です。地域や風習によって異なりますが、実は、お盆の時期は3通りあることをご存知ですか?
①「旧盆」
その年によって日が変わる旧暦のお盆。
②「月遅れ盆」
旧暦の7月のお盆の時期をひと月分、8月にずらしたお盆。
③「新盆」
今のカレンダー、すなわち新暦の7月のお盆「新盆」。なお、この場合の「新盆」というのは「新暦のお盆」の略です。
地方には未だ月遅れの盆の慣習が残る地域があります。都市部に出て行った人たちがこの時期に故郷に戻るためだったり、この時期を盆休み(夏休み)とする会社が多いので、都会に出て行った子どもたちが故郷に帰って、ご先祖とともにお盆を過ごせるためだったり…地方に月遅れの盆が残る理由には、そういった背景が関係しているといわれています。