後生にお墓を残さない人の選択肢として
お墓の選択肢として知っておいてほしい「永代供養墓」。詳しいお話を、新発田市にある長徳寺の関根正隆住職にお聞きしました。
長徳寺 住職
関根正隆さん
長徳寺の18世住職。「しばたオイスターバー」の仕かけ人でもある。
一代限りのお墓には適したお墓です
永代供養墓の内容・条件はお寺によってさまざま
近年、「お墓の継承が難しい」なんて言葉をよく耳にしませんか? 「跡継ぎがいない」「子どもに迷惑をかけたくない」といった理由から、先祖代々続くお墓をどうしたらいいのか悩む人が増えています。そのような悩みを持つ人に、選択肢として知っておいてほしいのが永代供養墓です。
「少子高齢化や核家族化などを背景に、50年ほど前から墓を持たないという選択肢が生まれました。散骨や樹木葬などが広まり始めたのもこの頃です。永代供養墓は“永代に渡って寺がお墓を守っていきます”という意味のお墓です。納骨料や永代経料など、寺が定めた費用を支払うことで、半永久的に供養を行ってもらう権利を買うことになります。私たちの寺では永代墓と呼び、春と秋のお彼岸とお盆の年3回、法要を執り行っています」。
こちらは長徳寺の永代墓「ハクラ」。
費用自体はもちろん、費用の収め方や法要のあり・なし、さらには永代供養墓に対する解釈もお寺や宗派によって異なります。
「近年、ほとんどの寺に永代供養墓が用意されていますが、内容や条件などは寺によってさまざまです。お墓をどうしてあげたいか、といった住職の思いやアイデアによって内容は異なってきますので、事前にお話を聞いたり、詳細を調べたうえで検討するようにしてください」。
お墓に対する考え方も 時代とともに変化
長徳寺では永代墓の生前申し込みも行っており、やはりここ数年で問い合わせの件数は増えているそう。
取材当日、「ハクラ」についていろいろと教えてくださいました。
「お墓を建てる方より、お墓をなくす方が多くなりました。家系でお墓を守る時代から、お墓は個人で持つ時代に。時代の変化とともにお墓に対する考え方も変わってきたのでしょう。その一つに永代供養墓があります。ただ、先祖代々続くお墓がある方はそちらに入ることを選択なさってもいいと思いますよ。子どもに迷惑をかけたくないという理由でお墓の相談に来る方も多いですが、お墓参りってそんなに負担でしょうか。年に数回、ご先祖様が私たちのために残してくれたお墓に手を合わせに行くことって、そんなに負担でした? 独り身だったり、跡継ぎがいなかったり…一代限りのお墓であれば、信頼できる寺に永代供養をお願いするのもいいでしょう。そうでない方は、先祖代々受け継がれてきたお墓について考え、家族や親族でしっかりと話し合う時間を設けてください」。
墓石の撤去や改葬(かいそう)は費用面でも負担の大きいこと。後々トラブルが生じないよう、菩提寺とも話し合い、親族含めて決めるようにしてください。
長徳寺 住職
関根正隆さん
「長徳寺の永代墓『ハクラ』は、モニュメントとしての合葬墓ではなく、亡くなった方を心静かにしのぶ空間です。ご遺骨は専用の納骨袋にお入れし、合葬形式にてお納めいたします。宗派を問わず、永代にわたってお護りいたします」