本格的な介護が始まる前に知識として備えておいてほしいことを、介護福祉士の三方憲子さんと一緒にQ&A形式でまとめました。親御さんが元気なうちに話し合っておけるといいことがたくさんあります。まずはできそうなことから始めてみてください。
※本記事は2023年9月時点の取材に基づく内容となります。
介護福祉士/介護支援専門員
三方憲子さん
ケアマネジャーの資格も持ち、現在はケアマネジャー受験対策講師として活躍。YouTubeチャンネル「【ケアマネ合格革命】三方 憲子」も開設し、学べる動画を配信中。
介護の備え Q&A
Q1.親が75歳以上ですが元気です介護について何か必要?
見た目は元気でも、75歳を超えると身体機能や認知機能に衰えが生じ始めます。ちょっとしたケガや病気を機に一気に介護が必要になる、なんてケースも。元気なうちに、もしもの時にどういった医療やケアを受けたいか、家族で話し合っておきましょう。「自分で選んだ」という自覚が、この先大切になります。
Q2.親との日頃のコミュニケーションどんなことに注意すれば?
認知症の前段階として「軽度認知障害(MCI)」という状態があります。まずはそのチェック項目に親御さんが該当するか、確認してみてください。心配な人は、関わりのある医療機関や、地域包括支援センターに相談してください。
▢同じ話を何度もする
▢物の名前が出てこない
▢もの忘れの自覚がある
▢外出が面倒になった
▢以前はあった興味・関心が失われた
※項目は目安です。MCIの診断は専門医を受診してください。
Q3.親の介護についてどこからどう情報を収集したらいいの?
介護のあり方は、個人の状態はもちろん、収入や要介護度、居住地に応じても異なります。基本的な知識を備えるには、市役所などで手に入る「介護保険サービスガイド」を確認するのがいいでしょう。
Q4.介護にかかるお金は一体いくらなの?
こちらも収入や要介護度、利用する介護サービスによって異なり、一概にいくらとはいえません。介護にかかる時間が長引けば長引くほど費用もかさむので、ケアマネジャーなどに相談してください。
Q5.施設探しで気を付けることは?
元気なうちに複数の施設を見学することをおすすめします。住み慣れた街もいいですし、お子さんが住んでいる地域の近くで探すのもいいでしょう。一つに限定せず、いくつも見学して回ることが大切です。
Q6.親が1人暮らしで不安弱った時にどうすれば?
自宅にこだわるなら小規模多機能型サービスを、住み替えが苦じゃない方ならサービス付き高齢者住宅などを提案してもいいかもしれません。その際、本人に選んでもらうことが重要です。情報と選択肢を提供し、選ぶのは本人。その流れが大切なんです。
Q7.自宅の介護リフォームってどんなことができるの?
要支援・要介護認定を受けた場合に限って、住宅改修費の支給を受けることができます。対象となる改修工事は以下の6項目です。介護保険の要支援・要介護認定申請前の工事は対象外となるので、必ず認定を受けてから行ってください。
①廊下・階段・浴室・トイレなどの手すりの取り付け
②段差の解消
③滑りの防止、移動の円滑化などのための床材の変更
④引き戸などへの扉の取替え
⑤和式便器から洋式便器への取替え
⑥上記①~⑤のために必要な工事
介護福祉士/介護支援専門員
三方憲子さん
「市役所などで手に入る『介護保険サービスガイド』は毎年更新されています。各市町村の介護保険についてわかりやすくまとめてありますので、最新版のものをお手に取ってみてください」。