一黙窯
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2023/11/21

日々の食卓にちょっといい器|長岡市 一黙窯

おとなKomachi編集部


自分の毎日は、自分で豊かに。おとなの小さな贅沢。

食事は毎日のことだから、ちょっといい器で、いい時間に。いつもの料理も、スーパーのお惣菜だって、お気に入りの器に盛り付けるだけで、景色が変わるから不思議です。今回は、長岡市で作陶を行う「一黙窯」さんの器をご紹介します。

一黙窯

糠白釉(ぬかじろゆう) 八角鉢(6,000円)には、冬の定番料理であるイカと里芋の煮付けがよく似合う。いつもの家庭料理をさっと盛り付けても“なんかいい感じ”に仕上がる、不思議な魅力。

 

朗らかで気持ちいい 人柄を映した清々しい器

器作りに使うのは、益子から取り寄せた5種類の釉薬と2種類の粘土。時折、信楽の土を混ぜながら、それらの組み合わせと焼き方の変化によって、色合いや質感の異なる器を作り出している。

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土をこねる様子を見せてくださった作陶家の廣川さん。うしろにはしっかりぎんぺーちゃんも。

 

作陶家の廣川智子さんは、なんとも朗らかで気持ちのいい人。生まれ育った長岡で古民家を改装し、創作活動を行っている。そばには愛犬のぎんぺー(とってもかわいらしい柴犬)がいて、「大工さんからもらったり。自分で見つけてきたり」という古くて素敵なものに囲まれながら。

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ご自宅の窓の外には気持ちのいい景色が広がり、何とも居心地がいい。古いものと新しいものがバランスよく混在し、廣川さんのセンスのよさが伝わってくる。

 

その人柄や暮らし方は作品にも現れていて、廣川さんの器は、素朴で清々しく、ユーモアがあってかわいらしい。手に取ると、ぽってりと優しい土の質感が伝わってくる。

一黙窯

動物や人をモチーフにしたオブジェ作りも。

 

「シンプルなものが多いのは、器はお料理やお花を引き立てる存在であってほしいと思っているからです。使いやすさはプロダクト(工業製品)に任せて、私はかわいらしさとか愛らしさとか、器のフォルムにこだわって作ることがほとんどかな」。

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自宅の棚には作品がずらり。渋めの風合いなのに、どこか愛らしく、気の抜けた感じ。そのやわらかい雰囲気が普段使いのしやすさにつながる。

 

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笠間や益子といった陶器の産地で修業を重ね、長岡で開窯して23年。ここ数年はオブジェ作りにも力を入れていて、動物や人物をモチーフにしたものは、これまた愛らしくて心がじんわりと温まるような趣き。

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廣川さんの器は県内にある小さなお店での販売をはじめ、岩室温泉にある「岩室 とり蔦」でもお目にかかれる。できれば本人にお会いしてほしいが、次の個展まではもう少し時間を。

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取材の際、廣川さんが淹れてくださったコーヒーと手作りの栗の渋皮煮がとてもおいしく…取材で緊張していた私たちの心を和ませてくれました。

 

一目窯の器の数々

※価格は取材時のものです。

 

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マットな質感が渋くて潔い黒釉片口鉢(大6,000円、小4,800円)。煮物はもちろん、サラダや大胆にカットした果物などを盛り付けても美しい。どっしりとした重厚感があり、食卓の主役になること間違いなし。

 

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並白釉(なみじろゆう)土瓶(7,500円)、糠白釉ゆのみ(1,600円)。どちらも白ベースの釉薬だか、その色味は似て非なり。並白釉はグレーがかった白色で、糠白釉は乳白色のようなやらわかな色合い。どちらも益子の伝統釉で、使いやすく万能な美しさ。

 

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並白釉マグカップ(各2,500円)。胴の下部分がふっくらと膨らんだフォルムがかわいらしく、まんまると存在感のある持ち手とのバランスも絶妙。「実はもっと大きな持ち手のマグカップも作ってみたいんです。眺めていても楽しくなるようなものって、いいじゃないですか」。

 

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ミントの葉を散りばめた植物の型押し皿。長辺28cmほどの大きめなオーバル皿(2,500円)と、長黒飴釉しのぎカップ(2,500円)、粉引面取カップ(2,300円)。カップとしてはもちろん、蕎麦ちょことして、副菜を入れる小鉢としても使いやすい。同じシリーズであっても、色、形、大きさが少しずつ異なるからこそ、選ぶ時間もまた楽しみになっていく。

 

※こちらの記事は2022年に「新潟Komachi/新潟 器 歳時記」で取材した内容を再編集したものです。

撮影:中田洋介(中田写真事務所)


作家Profile/廣川智子さん

長岡市生まれ。中学校での美術の教員を経て、笠間焼の産地、益子焼の産地で陶芸についてを学ぶ。地元に戻り、1999年に開窯。長岡市「daisy」に加え、弥彦村「Rafie」、新発田市「seats」でも作品を販売。
Instagram:@djnhw360

 

CURRY+CAFE daisy
住所:長岡市西神田町1-4-5
電話番号:0258-35-7333
営業時間:11時30分~15時、18時~21時
定休日:火曜
駐車場:あり
備考:企画展開催期間以外は常設で販売。廣川さんの近況はInstagramアカウントをチェック。

URL 廣川智子 tomoko hirokawa
https://www.instagram.com/djnhw360/